病気のページ1
猫の肥満細胞腫の治療の第一選択は外科的切除です。猫の肥満細胞種は頚や顔に発生が多いという特徴があります。このため多くの場合広く切除することは困難なのですが、幸い多くは「良性」挙動を示すので犬ほど広範囲な切除が重要にはなることは少ないといえます。また、犬と異なり猫の肥満細胞種では外科的切除以外と併用される効果的な補助療法はほとんど知られていません。(補助的ないくつかの抗がん剤治療の報告はありますが、生存期間の延長は得られていないようです☆5)
猫の肥満細胞腫はふつう犬に用いられる組織学的グレード分類は用いません。先に述べたように多くは「良性」の挙動を示します。中には自然に小さくなるものもあります。しかし、「悪性」の挙動を示すものもあります。猫の肥満細胞種は犬のような予後に影響する因子は報告されていませんが、典型的に未分化なものは再発や転移を起こしやすく「悪性度」が高いようです。また、腸管に発生した肥満細胞種も診断時に転移がみられることが多く予後は不良です。
猫の肥満細胞種も犬と同様に多くの場合、細胞を採取して診察室で検査することで見つけることができます。しかし、猫の肥満細胞種の中には典型的な肥満細胞の形態を示さず診察室で細胞を検査することでは診断の困難なタイプが存在します。この場合は、組織を採取して病理検査を行う必要があります。(このタイプの肥満細胞種は比較的若齢の猫で発生することが多いということが分かっています☆5.7.26、また自然に退縮することもあります☆27.28)肥満細胞種は例外的ですが猫の皮膚にできる腫瘍は犬に比べ悪性の割合が多く、皮膚腫瘍全体としては犬が20%〜30%が悪性であるのに対し、猫では50%〜60%が悪性であると報告されています☆31.32.33.34。このことからも、やはり早期発見が重要だといえます。